
能登の海岸沿いでは、
昔からタコ採りが行われている。
■タコは岩場より石の浜にいる
おる場所は大体決まってます。壺に入るのはご存知でしょう。穴が好きなんですね。岩場でも、大きな岩があるところじゃなく、石コロがあるところに入り込む。
■海の中のタコを見つける
タコってのはパッと見ても、皆さんほとんど分からない。私が「ホラホラ」って指さすんですが、見えないんですね。これは何て言うか、感覚で覚えてるんでしょうね。
岩のところに岩のような色しておるんです。時々手が微妙に白うなったりする。動きより、色が変わると一遍に分かる。それと、何でや知らんけど、ちょっと見えても、「あれはタコの足や」って分かるんですね。
■タコの好む波の時に釣る
タコが嫌がる波の日は、見ただけで今日はダメって分かりますよ。凪いでるように見えて、ザーザーとくる波は嫌がるんです。まずいないですね。もちろん、荒れがかった波でもいません。やっぱり凪いで、波が良い時にいるんです。
初めてやる人は、「可能性あるかもしれんけど」という程度の日は、やらん方が良い。「今日ならおるよ」という日は、見たら分かりますから。
■揺れるものに向かってくる
三メートルくらいの竹の竿を持つんですが、宇出津の人は赤い布を付けてる。私のところは全部モチ草(ヨモギ)を5、6本束ねて縛り付けて、揺らすんです。
タコ採りは食べるだけの楽しみじゃない。気持ち良いのは、タコが跳んで来るわけですよ。動くものに対してね。モチ草は裏っ側が白いでしょ。魚と間違えてるんじゃないかね。
■竿に向かって跳んでくる姿が醍醐味
ちょっと楕円形になりながら、跳んで来る。その形がね、好きなんですよ。何とも言えないんですよ。
6月頃でもタコはおるんだけど、そんな時のはウロウロとしてるのを引っ掛けるだけやから、面白ない。跳んでくる「この」形を見たら、やめられん。 夜は、タコが藻の上に乗ってるんです。そこに人が裸足で歩くと、足に跳んで来る。ズボンのところには来ないから、肌の光で来るのかね。
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■子どもの頃から名人
タコ採りは、子どもの頃から近所でも知られるくらい得意でした。小学校の5年頃から、毎朝タコ採りしてましたね。
自分でタコの生簀を作ったりしていたから、私はかなり進んでいたと思いますよ。
■季節は9月
藤波地区は半農半漁の集落で、秋は田んぼや畑で忙しい。夕方タコ採りしてる者は誰もおらんかった。だから、子どもの頃もあんまり目立たん朝早くに行って、それから朝食を摂って学校へ行く、という感じでした。
9月に入ると、「ああ、来たな」と。タコ取りの季節を心待ちに待っているわけです。
■夕方よりも朝がいい
僕らは夕方よりも、朝早くに出る。大体6時半か7時まで。日が高くなると、水面が光って見にくくなるんです。
タコは時間になると、沖に遊びに出るんですよ。この時期で大体7時過ぎから20分頃かなあ。7時半までいくと、ちょっともう遅い。夕方だと、4時半頃から暗くなる頃まで、磯の方に寄るんです。
■シーズン以外に採ると、タコが減る
自分の感覚では、タコ採りにはシーズンがある。10月の終わりでもおりますが、9月の「おさよ市」が終わる20日頃までがピークだと、子どもの頃から私は見ていたんです。それを過ぎると、あまり採りに出た記憶がない。
昔はちゃんと、分かってたんですね。そこそこ採って、次の年もちゃんと採れる。それが最近、やたらに漁をするタコ取り人が増えて、10月の終わりまで毎日、竿持ってウロウロしとるわけね。あれじゃあ、おらんようになるわいね。
■タコを叩くと身が柔らかくなる
昔はタコを採ったら、岩に叩いた。子どもは岩に落としたり。手にも付くしね。
今は嫌がるんか、買いもの袋に入れてますね。でも本当は、叩いて身を柔らかくする。そういう理由もあったんです。
■タコは刺身より断然、茹でたて
採れたては、塩を入れて茹でるんです。沸騰してから入れて、酢を入れるとキレイになる。丸まっている足をパンと切って、茹でたてをポンと食べる。最高ですよ。
これを食べてみさし。刺身なんてもう、食えなくなる。甘みがあってね、それが、私ら浜どこにおるモンの食べ方。
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